住宅のインスペクション増えているのか!?
- 投稿日:2018年 9月 7日
- テーマ:
猛暑が過ぎ、9月入りました。
7月には西日本で豪雨、昨日は北海道での地震 多くの被害もたらしています。被害に合われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、少しでも早く日常がもどることを祈っています。
2018年4月 不動産業者から中古住宅の売主や買主に対して、ホームインスペクション(住宅診断)のことを説明し、利用する意思があるかどうか確認することが義務化されました。建物状況調査と呼ばれています。
以前にも書きましたが、建築士会連合会や国の登録を受けた講習実施機関が講習を行い、講習修了者を既存住宅状況調査技術者として登録し公開しています。
5ヶ月が経過しましたが建物状況調査は増えているのでしょうか?
当社への建物状況調査が増えているかというとそうではありません。
単純に中古物件の売買が伸びていないのか。建物売買を仲介する不動産業者が建物状況調査業者を斡旋しているのか定かではありません。
そこで、はじめに立ち返って建物状況調査を行うことにより売主、買主のメリット、デメリットをおさらいしてみましょう
売主のメリット
● 建物の劣化状態を知ることで瑕疵担保責任に備えることができる
● 調査により問題があければそれがセールスポイントになる。
売主のデメリット
● 瑕疵が見つかった場合は瑕疵の補修費用が必要になるか、売値が下がることになる。
買主のメリット
● 購入前に建物の抱える問題点をある程度は把握できる
● 購入後に必要な補修工事をある程度は知ることができる
● 購入判断をすることができる
買主のデメリット
● その住宅の売買に競合者がいる場合、状況調査の結果が出る前に売れてしまうことが可能性がある。
買主としては購入する物件について、住宅診断を行いたいのは当然のことです。それを、不動産業者に話すと診断業者を斡旋してくれることもあるはずです。買主が話さなくても紹介や斡旋を受けることが多いはずです。
そこが問題です。
厄介なのは、住宅診断の依頼者は買主のはずですが斡旋された診断業者にしてみれば、不動産業者も大切なお客様ということです。意図的にだまそうとしなくても、不動産業者が安心できる診断業者を紹介していると考えたほうが良いと思います。
買主はどうしたらよいでしょうか。その住宅や立地条件が良く、ぜひ購入したい物件なら、住宅診断を行い、さらに不動産業者に既存住宅売買瑕疵保険に加入してもらうことです。そうすれば万が一、引渡しを受けた建物の保険対象部分に瑕疵が見つかった場合は、その補修費用をまかなうことができます。
本当なら時間をかけて、中古部件を探して可能なら、内装リフォーム前の物件を住宅診断してもらうことです。そうすることによって、これまでの経年変化の状況を的確に診断者が判断できるからです。
建物状況調査は既存住宅状況調査方法基準のよって行われますが、その判断は基準の状況になっているかどうか
つまり、「有り」か「無し」かで判断されます。
たとえば「基礎の深さ20mm以上の欠損」があるかないか
深さ10mmだったらどうでしょうか。いずれ20mmまでそれ以上に達するもなのかどうか
その原因は何が考えられるか。微妙なところを判断してアドバイスをしてもらえる診断業者を探してください。
既存住宅状況調査技術者であることはもちろんのこと、日本ホームインスペクターズ協会のホームインスペクターとして登録されているかも確認することも良いかもしれません。
不安なことがあったら相談に応じます。
メールをしてみてください。
もう2ヶ月後から始まるよ。既存住宅状況調査
- 投稿日:2018年 2月 2日
- テーマ:ホームインスペクション
4月1日より始まります。もう2ヶ月後から
宅建業法の改正により平成30年4月1日より、既存住宅状況調査技術者が既存住宅状況調査方法基準に従って行う既存住宅状況調査の結果が、既存住宅の取引における重要事項説明の対象となります。
なぜ法改正されたのか
「インスペクションの実施」や「住宅の瑕疵(かし)保険(インスペクションの実施が必要)の加入」を促して、中古住宅の売買を活性化させようとしていることだ。
その内容は
中古住宅の売買に仲介する不動産会社に3つのことを義務付けるということ
(1)不動産会社に仲介を請け負う契約を交わす際に、インスペクション事業者のあっせんができるかどうか明示すること
・まずは売主など仲介の依頼者に、インスペクションはどういったものか説明すること
・依頼希望があればインスペクションが行われるよう資格を持った建築士であるかを調べ紹介すること
ここで注意
・不動産会社自身がインスペクションを行うのは適当ではないとされ、インスペクションを斡旋(紹介)は媒介業務の一部なので、斡旋料金を別途で受け取ってはならないとされている。
(2)売買契約にあたって、インスペクションが実施された中古住宅の場合は、買主に対してインスペクションの結果を説明すること
不動産会社は売買契約の前に、必ず行われる「重要事項説明」において、過去1年以内にインスペクションが実施された中古住宅の場合、インスペクション事業者が作成した「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」を使って劣化状況などを説明する必要がある。
なぜ、過去一年以内かというと、インスペクションの有効期間は1年以内だからである
(3)売買契約時に、中古住宅の構造上重要な部分の状況(雨漏りや基礎・外壁のひび割れ等)について売主と買主双方に確認させて、その内容を書面にて渡すこと
「当事者の双方が確認した事項」の書面は、原則として第三者の専門機関による建物状況調査が行われ、それについて重要事項として説明した場合に、売買契約時に交付が必要な書類と見なされる。
いずれにしても今回の改正の狙いは
消費者に情報を隠さず、多くの情報を提供するようにということ なのです。
そのインスペクションを行う技術者が 既存住宅状況調査技術者とよばれ、現在、国の登録を受けた講習実施機関が講習を行い、講習修了者を登録し公開しています。
以下の団体です。ちなみに自分は日本建築士会連合会で講習を受け登録されています。
リンクを張っています。そこで登録されている既存住宅状況調査技術者を確認することができます。各団体で登録内容が多少違います。建築士会連合会では顔写真まで載っています。
秋田県で建築士会連合会に登録されているのは、現在127名です。他の団体に登録されている方もいらっしゃるのでもっと多くの方々がいるはずです。ただ、当社のようにホームインスペクションを業として行っている会社はまだまだ少ないようです。
1.一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会 http://kashihoken.or.jp/inspection/search.php
2.公益社団法人日本建築士会連合会 https://aba-svc.jp/house/inspector/index.html
3.一般社団法人全日本ハウスインスペクター協会 https://house-inspector.org/既存住宅状況調査技術者講習会/既存住宅状況調査技術者登録名簿/
4.一般社団法人日本木造住宅産業協会 http://www.mokujukyo.or.jp/kensetsu/inspection/search.php
5.一般社団法人日本建築士事務所協会連合会 http://kyj.jp/inspection/search
既存住宅状況調査の調査部位について
- 投稿日:2017年 11月 8日
- テーマ:
こんにちは
住宅のホームインスペクションを行うには資格が必要だということは前回書きました。
その中で既存住宅状況調査技術者という資格があることもお知らせしています。自分は建築士会連合会の6月の移行講習を受け、資格を得ています。
そのテキストがこちら
同じテキストが三冊あるのは、1冊目は移行講習で使ったテキスト、2冊目は講師のための講習で使ったテキスト、三冊目は最新のテキストでこれを使って9月27日に行われた秋田県建築士会の新規講習の講師を務めました。
担当は既存住宅状況調査の概要等の内容でテキストとしては32ページ分、2時間の講習でした。あまり経験の無い講師という役で、定められた内容を時間内で受講者に伝えなければなりません。何度が事前に練習はしたものの、人前で自由に話すのと違い難しいものでした。
何とか時間通りに終わりました。何より良かったのは自分の理解がより深くなったことです。
また、講師の依頼があれば引き受けようと思っています。
さて、既存住宅状況調査方法の基準は平成29年2月の国土交通省告示82号で定められています。
その検査対象部位です。(建築士会連合会テキストより)
次回からは調査に使用する機器や内容をお知らせします。